おしゃぶりは、乳幼児にしゃぶらせるための乳首型の育児用品である。材質はゴムまたはプラスチックでできている。 日本語の「おしゃぶり」は、読んで字のごとく「しゃぶる」が語源になっている。米語のpacifierは "pacify" (落ち着かせる・あやす) イギリス英語・オーストラリア英語:dummyは "dumb" (口のきけない人)、sootherは "soothe" (静める)がもとになっている。また、カナダ英語・アイリッシュ英語のrubberは「ゴム」、plastic nippleは「プラスチックの乳首」の意。
詳細は「おしゃぶり誘発顎顔面変形症」を参照
赤ん坊がおしゃぶりを喜ばない場合はシロップや蜂蜜につけてから与えると良いという意見があったが、これは赤ん坊の歯に悪影響を及ぼすことが分かっている。また、蜂蜜中にはボツリヌス菌の芽胞が含まれていることがあるため、消化器官が未発達な乳児に与えるのは危険である。
乳児はおしゃぶりや指を吸うと落ち着くことがあるおしゃぶりは、特に生後6週間以内に与えた場合、母乳栄養の妨げになる場合がある。またおしゃぶりを吸う子どもは中耳炎になりやすい傾向がある(指しゃぶりも参照)。
また、日本小児科学会や日本小児歯科学会などの会員でつくる検討委員会は、長期間おしゃぶりを使っていると、歯並びに悪影響が出るとしている。
常におしゃぶりをくわえていることで言葉の練習が妨げられて、言葉の発達が遅れるかもしれない。
研究者は、乳幼児の突然死のリスク軽減効果があることを発見した。指しゃぶりよりおしゃぶりの方がましだと考える保護者もいる。
アメリカ小児歯科学会の「指しゃぶりとおしゃぶりの習慣についての指針」('Policy on Thumb, Finger and Pacifier Habits')は「ほとんどの子どもの場合、前歯の永久歯が生えるまではおしゃぶりを使用しても心配しなくてよい」としている。
アメリカ小児科学会は「おしゃぶりの使用を抑制するのは止めるほうが良いようである」とし、零歳時の就寝時のおしゃぶり使用を推奨している。ただし母乳栄養の母親には、母乳栄養が確立するまでの数週間はおしゃぶりの使用を待ったほうが良いとしている。
日本小児科学会と日本小児歯科学会らで作る保険検討委員会は「おしゃぶりについての考え方」の中で、「発語やことばを覚える1歳過ぎになったら常時使用しないようにする」「おそくとも2歳半までに使用を中止するようにする」としている。
日本厚生労働省は2006年に起きた「おしゃぶり訴訟」を受けて母子手帳を改正。 全国の乳幼児に広がるおしゃぶりによる健康被害を重くみて、日本医師会・日本歯科医師会・日本産婦人科学会・日本産婦人科医会・日本小児科学会・日本小児科医会等、関係諸団体了承のもと、2007年度の母子手帳より「おしゃぶりの長期間の使用によるかみ合わせへの影響について」の記述を新規追加して、おしゃぶりの早めの使用中止・注意や相談を呼びかけるなど、異例に早い対応を示した。また、全国の保健所・病院等での乳幼児健診の際には母子手帳の記載に基づき、おしゃぶり使用の注意が徹底されるようになった。
日本経済産業省はおしゃぶり常用による乳幼児の健康被害が全国的に広がるなか事態を重くみて、2007年、消費生活用製品安全法を改正。「おしゃぶり誘発性の歯列、顎、顔の変形症」について省令で定める「身体の障害」、政令で定める「治療・治癒に30日以上要するもの」に該当するものとし、販売メーカーに「重大製品事故」として、事故発生を知った日から10日以内に経済産業省への報告を義務付けた(消費生活用製品安全法)。
テレビアニメザ・シンプソンズのマギー・シンプソンはおしゃぶりを片時も離さず、チュウチュウと吸う音を立てることでコミュニケーションを取っている。
1990年代半ば、おしゃぶりはアメリカのファッション界に注目され、十代のアクセサリーとして流行した。これは一部で、ある種のテクノ音楽と違法ドラッグMDMA(エクスタシー)に関係があるとされ、各地で禁止された。
オーストラリア英語では、"spit the dummy(おしゃぶりを吐き出す)" が「かんしゃくを起こす」という意味の口語的表現となった。